毎日新聞「日曜くらぶ」掲載

縁側で沙希と拓矢が楽しそうに話していた。

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夜も遅いので、律子は一眠りしてから帰ることになった。
沙希の使っていた座椅子で眠る律子は、毛布を被ったまま、全く動かなかった。

毎日新聞「日曜くらぶ」掲載

ゆかりの前に沙希の母の律子が座った。
ゆかりが温かいお茶を淹れたが、律子の手はブルブル震えていて、春子は二人の顔を交互に見ていた。

毎日新聞「日曜くらぶ」掲載

ゆかりの家の壁掛け時計の金色の振り子が音もなく揺れていた。
あの時計は、ゆかりと夫の暮らしを見ていたのだろうか、と春子はふと思った。

毎日新聞「日曜くらぶ」掲載

春子は湧き上がってくる言葉が言い出せず、「体内で膨らんで、気持ちが悪い」と感じていた。